読書バリアフリー法学習会 報告

6月26日、相模原市立図書館にて、専修大学の野口武悟先生をお迎えし、「読書バリアフリー法学習会」が開催されました。2019年6月「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)が可決成立したタイミングで、その法律の内容を詳しく学ぶことができました。会場には、視覚障害者協会、書店、企業、社会福祉協議会、視覚障害者情報センター職員、図書館職員、学校司書、など多くの方が参加されました。

最初に野口先生の講演がありました。「読書バリアフリー法」が成立した背景として、2010年「国民読書年」「電子書籍元年」、2013年「障害者差別解消法」の施行等、2006年に国連で「障害者の権利に関する条約」が採択された以降の流れを説明されました。ここでは野口先生をお招きして2015年10月につなぐ会主催で開催した「合理的配慮ってなんだろう~視覚障害者の読書について~」の学習会のことにも触れられました。2019年1月「マラケシュ条約」の発効と改正「著作権法」の施行で「読書バリアフリー法」成立の機運が高まり、6月21日に、障害者の読める本を「買う自由」と「借りる自由」の確立を求めた法案「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」が可決成立しました。

次に実際の「読書バリアフリー法」を読み解きながら、目的、基本理念、国と地方公共団体の責務、基本的施策を解説してくださいました。この法律の目的はアクセシブルな資料の量的拡充や質の向上を目指した、視覚障害者等の読書環境の整備で、そのために国は財政処置を行う。また第9条から17条を取り上げ、8つの基本的施策を丁寧に説明してくださいました。

最後に第18条の「協議の場」が設けられていることをあげ、この法律の制定が新たなスタートラインであることを指摘されました。実際にどのように法律が活かされるのかが重要で、私たちは具体的に何ができるかを考えなくてはならない、と結ばれました

次に話題提供者の渡邊健一さん(つなぐ会)から、ご自身の自己紹介とともに、今までどのように図書館を活用されたかお話されました。「読書バリアフリー法」施行で期待される読書活動をめぐる3つの可能性として、①電子書籍などを通じ当事者個々に合った読書活動の幅の拡充、②各種図書館のワンストップ・サービス、③当事者や家族の日々のより豊かで文化的な生活向上、を挙げられました。

また、読書バリアフリーになるために、ケースバイケースで文字・活字文化活動(単に本を読むことだけにとどまらない)支援や保障が必要であることを話されました。

さらに、図書館サービス事例紹介を図書館職員が5つの事例をお話されました。事例は、本のページがめくれないという肢体不自由の方への対応、英語の文献の対面朗読希望、地域限定の宅配サービス、漢字が読めない方への対応、ペースメーカー利用の方への対応。実際に利用者の方が何に困っているのか、それに対して図書館がどのように応えたのか、わかりやすい報告でした。

質疑応答の後、野口先生のファシリテートで四者のトークセッションが行われました。図書館でのサービス事例を掘り下げ、登壇者の思いを、時には会場からの声も交えながら話し合われました。

「読書バリアフリー法」をわかりやすい言葉で説明していただき、さらに当事者の話題提供や、図書館サービスの紹介でこの法律がぐっと身近に感じることができました。施行されたあとも動向を見守っていきたいと思いました。

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